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執筆者の写真戸部 有希子

年齢退行療法とは

今悩んでいることは、過去の記憶と関連しているかもしれません。


なぜならば、現在を生きている自分の価値観はすべて過去に作られたものだからです。そして、価値観はひとりでに作られるものではありません。過去における重要な誰かとの関係、出来事が、今の自分を作っています。


いま、解決できない悩みがあるのであれば、思いきって過去の記憶を見直してみると大きな発見があるかもしれません。


過去を振り返る方法は様々にあり、もっとも過去を振り返っていく有名な心理療法は精神分析です。


精神分析と催眠療法はどのように違うのでしょうか?

精神分析は自由連想という形で、クライエントが過去などについて自由に語り、その語りの中に現れる無意識の葛藤をセラピストが分析し「解釈」という形でクライエントに伝えていきます。そして、その解釈を聞いたクライエントが、どう感じて、どう行動が変化していっているか、そしてセラピストがどう感じているかを、セラピストが分析し伝えていくのです。この繰り返しを通じて、クライエントは自らの無意識にアプローチし、気づきや変化が生まれていきます。精神分析では数十回から百回を超えるセッションも珍しくありません。

精神分析は時間と費用がかかるため、根気のいる心理療法ですが、その分、大きな収穫が得られることでしょう。


一方、催眠療法は一つの問題については基本的には一回のセッションで完結していきます。

精神分析を大河ドラマに例えるとすれば、催眠療法は2時間スペシャルドラマといったところでしょうか。


催眠療法ではダイジェストのような形で過去を振り返ります。なぜ1回で効果が得られるのでしょうか。

その秘密は、催眠療法でしか使えない「暗示」というテクニックが関連します。

催眠療法では、ご存知のように「暗示」を駆使します。

その暗示の中でもっとも効果的なのは、「視点を移動する」という暗示です。

催眠療法では暗示を使うことにより、一つの過去を振り返った時に、複数の視点でその出来事を見つめ直すことができます。


例えば、大人の自分の視点、子供時代の自分の視点、自分の周囲にいる人物の視点、俯瞰的な視点など様々な視点、そして感覚的な時間の移動です。


そして、セラピストは解釈をしません。クライエントがその振り返りの体験の中で気づいたことが結論となるのです。誰かに言われて納得するのではなく、勝手に自分で答えに気づいてしまうのですから、通常の心理療法でもっとも時間のかかる「納得する」という作業が省略されることになります。つまり、そのセッションが終わった時には、何らかの答えが出ていますから、もう終わりで良いとわかりますね。


だから催眠療法は一回でも大きな変化をもたらすため、非常にコストパフォーマンスに優れているのです。


ただし、その変化は自分が想像していたものとは違うかもしれませんけどね。

1話完結ですが、悩みが多い場合は何回も受けることもできますので、ご安心くださいね。

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