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メディア出演しました

実は、昨日放送されたTBSの特番「公開大捜索」という番組に、ほんのちょこっとだけ出演させていただきました。

私は脳器質性障害による記憶障害についての説明をさせていただいたのですが、後半の解離性健忘の方へのタレントさんのコメントに軽く引用されてしまった感じがするので、誤解を解きたいと思います。

外傷や病気などの脳へのダメージによる追想障害の場合は、ヒントを得ることで記憶を想起できるきっかけになることが知られています。記憶を司ることで有名な海馬は、新たな記憶の書き込みの際に、古い記憶を呼び出す案内役も果たしてくれるということなのです。


しかし、今回、問題となるのは解離性健忘についてです。

解離性健忘とは、ストレスに満ちた辛い記憶について、いわば極めて強い忘却暗示を自分自身でかけている様な状態とも言えます。暗示で忘却しているときは、自分の心がその暗示を解かなければ原則的に、その記憶は封印されたままとなり、その忘却により心の平穏を取り戻している状態です。しかし、実際は覚えています。


催眠現象の中で不思議なことがわかっているので紹介しますね。


ある人の目の前に椅子を置いて、「その椅子が全く見えません」という暗示をかけたとします。そして、そのあとに、その人に「まっすぐ歩いてみてください」というお願いをします。さて、その人は椅子にぶつかるでしょうか。


答えは、「椅子を避けて歩く」です。つまり、見えているし認識しているけれども、ただ、「見えない」と思い込んでいる状態のため、ちゃんと避けて歩くこともできてしまうのです。面白いですね。


昨日の番組に出演された解離性健忘の方も、明らかにご本人と思われる写真などをみられているとき、心なしか表情が固くなっていた様に感じました。思い出したくない記憶が封じられている場合、思い出させようとすると苦痛を伴うため、無意識に避けることがあるのではないかと思います。


解離性健忘の方が記憶を取り戻す方法は、ヒントを与えたり暗示によって、記憶を無理やり引き出すのではなく、その記憶によって傷ついた心が癒され、その辛い記憶を受け入れる心の準備ができることです。心の準備がないままに無理やり記憶を引き出してしまうと、その記憶に耐えることができないため非常に危険な状態に陥る可能性があります。


出演者様のご回復をお祈りしています。

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